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やまのおかげ屋ブログ

鳥取和牛赤身 美味しさの理由とは?


鳥取和牛といえば、とろける脂が魅力の「鳥取和牛オレイン55」をご存知の方も多いかと思います。しかし、鳥取和牛の魅力は脂だけではありません。


現在、鳥取県では「赤身肉の美味しさ」をさらに究める、新たなブランド化の取り組みが進められています。


今回ご紹介させていただくのは、その鍵となるの「グリコーゲン」という成分です。



■なぜ今「グリコーゲン」なのか?


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鳥取県は、全国の有名ブランド牛を超える和牛を目指し、肉の美味しさを科学的に評価する新たな指標を求めてきました。そこで着目されたのが、お肉の赤身部分に蓄えられている「グリコーゲン」です。


グリコーゲンは、それ自体は無味無臭ですが和牛肉の味わいに深みを与え、「コク」「まろやかさ」「味の持続性」を高めることが期待されています。


熟成されると、グリコーゲンは分解されて「甘み」の元となるグルコースに変化します。このグルコースが、お肉を焼いた時に香ばしさを生む「メイラード反応」の材料になるため、焼き肉やステーキにした時の風味にも大きく貢献してくれます。



■科学が証明した「グリコーゲン」


グリコーゲンが本当に美味しさの決め手になるのか?

鳥取県畜産試験場では、科学的な調査と実際の官能評価(食べ比べ)を実施しました。


✔ 驚きの官能評価結果

グリコーゲン含量が高い肉ほど、甘味、風味、そして総合的な美味しさの評価が高い!という結果が確認されました。


✔成分分析でも裏付け!

グリコーゲンが高い肉の成分を詳しく分析すると・・・


 ・甘味アミノ酸やフルーティーな香り成分が増加!

 ・お肉の腐敗臭の原因となる成分が減少!


という良い傾向が見られました。つまり、グリコーゲンが高いお肉は、甘さと香りが向上し、より美味しい味わいになることが分かっているんです。



■赤身の美味しさを測る「独自指標」


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グリコーゲンの活用を進めるため、名和食肉センターでは肥育牛のロース芯の分析が続けられています。この基礎調査の結果、グリコーゲン含量には以下のような特性があることが判明しました。


・雌牛の方がグリコーゲン含量が多い

・枝肉重量が重く、BMS(霜降り)が多くなるにつれ少なくなる

・月齢が30ヶ月を超えると増加

項目

傾向

備考

性別

雌の方が多い

脂肪評価とは逆の動き

BMS(霜降り)

高いほど少なくなる


枝肉重量

重いほど少なくなる


月齢

30ヶ月を超えると増加傾向


遺伝率

0.32(中程度)

改良可能だが注意が必要

特に重要なのが、霜降り度を示すBMSやオレイン酸といった「脂肪の評価とは逆の動き」を示す点です。これは、グリコーゲンが脂肪の質とは切り離して、赤身肉そのものの美味しさを測る、独立した新しい指標として非常に高い価値を持っていることを意味します。


また、グリコーゲン含量の遺伝率は0.32(中程度)と分析されており、品種改良を通じてグリコーゲンを意図的に高めることが可能であることも示されました。



■生産者と研究所が目指す鳥取和牛の未来


現在、鳥取県では、このグリコーゲンを活かすべく、生産現場での改良技術の活用やゲノム育種の導入といった取り組みが進められています。


私たち消費者の皆様に、より美味しく、より付加価値の高い鳥取和牛をお届けするため、生産者の方々や研究所が一丸となって研究を続けています。


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鳥取和牛の新たな美味しさの秘密、「グリコーゲン」が秘められた赤身肉の「コク」と「まろやかさ」をぜひ味わってみてください。



これからの鳥取和牛の進化をどうぞご期待ください!


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